MT4でEAを自動売買する方法 — 完全初心者ガイド
はじめに
「FXの自動売買って、プログラマーじゃないとできないんでしょ?」
実はそんなことありません。
EA(エキスパートアドバイザー) というプログラムをMT4にセットするだけで、あなたが寝ている間もパソコンが勝手にトレードしてくれます。
「感情に振り回されて損切りできない」「チャートを見続ける時間がない」「自分のルール通りにトレードできない」。こういった悩み、EAなら全部解決できます。
ただし、EAは魔法のツールではありません。適切に選んで、正しく設定して、きちんと検証する。この手順を踏まないと、口座の資金があっという間に溶けます。
今回は「MT4って何?」というレベルの方でも分かるように、EAの導入から本番運用まで、一つずつ丁寧に解説していきます。
EAとは何か
EA(Expert Advisor)は、MT4上で動く自動売買プログラムのこと。
あらかじめ決められたルールに従って、エントリーから決済までをすべて自動で行います。人間の代わりにトレードしてくれるロボットだと思ってください。
EAができること
- 24時間トレード -- 寝ている間も、仕事中も、相場を監視してチャンスがあればエントリー
- ルール通りの取引 -- 感情に左右されず、毎回同じ条件でトレード
- 複数通貨ペアの同時運用 -- 人間には不可能な複数チャートの同時監視
- 瞬時の判断 -- ミリ秒単位でエントリー・決済が可能
EAが苦手なこと
- 想定外の相場 -- リーマンショックのような暴落、フラッシュクラッシュ
- ファンダメンタルズ判断 -- 経済指標や要人発言の影響を読むのは苦手
- 相場環境の変化 -- トレンド相場で勝てるEAがレンジ相場で負け続ける、という事態が起こる
EAは万能ではありません。でも「人間の弱点を補ってくれるパートナー」として使えば、非常に強力です。
MT4とは
MT4(MetaTrader 4)は、ロシアのMetaQuotes社が開発したFX取引プラットフォームです。2005年にリリースされて以来、世界中のトレーダーに使われ続けています。
なぜ2026年の今でもMT4が主流なのか
「もう20年以上前のソフトでしょ?古くないの?」
確かに後継のMT5も出ています。でもMT4が今でも圧倒的に使われている理由があります。
| 比較項目 | MT4 | MT5 |
|---|---|---|
| EAの数 | 数万以上(圧倒的) | まだ少ない |
| 対応ブローカー | ほぼすべて | 一部のみ |
| 情報量 | 膨大(書籍・記事・フォーラム) | まだ少ない |
| 安定性 | 長年の実績あり | やや不安定な場面も |
| プログラミング言語 | MQL4(シンプル) | MQL5(やや複雑) |
要するに、EAの種類が圧倒的に多い+情報が豊富+対応ブローカーが多い。だからEA自動売買をするなら、今のところMT4一択です。
MT4でできること
- チャート表示・テクニカル分析
- 裁量トレード(手動売買)
- EA(自動売買)の実行
- バックテスト(過去データでEAを検証)
- カスタムインジケーターの追加
今回はこの中でもEAに焦点を当てて解説していきます。
MT4のインストール方法
MT4はMetaQuotes社の公式サイトからではなく、利用するFXブローカー(FX会社)のサイトから入手するのが一般的です。
なぜブローカー経由なのか
ブローカーごとにMT4がカスタマイズされており、口座とスムーズに連携するようになっています。公式サイトから直接ダウンロードすると、最近はMT5が案内されることが多いです。
インストール手順
1. FXブローカーで口座を開設する
まだ口座を持っていない場合は、EA運用に対応しているブローカーで口座を開設します。
EA運用で人気のブローカーの特徴:
| ブローカーの種類 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 国内業者 | スプレッド狭い・信頼性高い・レバレッジ最大25倍 | 安全重視の人 |
| 海外業者 | レバレッジ高い・ボーナスあり・EA制限が少ない | 少額で大きく運用したい人 |
EA運用ではブローカー選びが非常に重要です(後述します)。
2. ブローカーのサイトからMT4をダウンロード
口座開設後、ブローカーのマイページや取引ツールのページにMT4ダウンロードリンクがあります。
Windows版が標準です。Macユーザーの場合、ブローカーによってはMac版を提供しているところもあります。提供がなければ、仮想環境やVPS(後述)での運用を検討してください。
3. インストーラーを実行する
ダウンロードしたファイル(.exeファイル)をダブルクリックして起動。基本的には「次へ」をクリックしていくだけです。
インストール先のフォルダは、デフォルトのままで問題ありません。変更すると、後でEAのファイル配置で迷う原因になります。
4. ログインする
インストールが完了すると、MT4が起動します。
ブローカーから届いたメールに記載されている以下の情報でログインします。
- ログインID(口座番号)
- パスワード
- サーバー名
「ファイル」→「取引口座にログイン」から入力してください。
右下のステータスバーに数字(通信量)が表示されていれば、接続成功です。「回線不通」と出ている場合は、サーバー名が間違っている可能性が高いので確認してください。
EAの入手方法
MT4をインストールしたら、次はEAの入手です。大きく分けて3つの方法があります。
1. 無料EAを入手する
MQL5マーケット
MT4内の「マーケット」タブから直接ダウンロードできます。無料EAも多数あります。
メリット: 手軽に試せる。レビューや評価が見られる。
デメリット: 性能が低いものが多い。本格運用には向かないものが大半。
ブローカーの提供EA
一部のブローカーは、口座開設者向けに無料EAを提供しています。そのブローカーの環境に最適化されていることが多く、相性は良いです。
FXコミュニティ・フォーラム
海外のFXフォーラム(ForexFactory、MQL5フォーラムなど)で無料配布されているEAもあります。ただし、出所が不明なEAには注意。悪意のあるプログラムが仕込まれている可能性もゼロではありません。
2. 有料EAを購入する
MQL5マーケット
MT4内のマーケットから購入可能。価格帯は数千円から数十万円まで幅広い。
GogoJungle(ゴゴジャン)
日本最大のEA販売サイト。日本語対応で、フォワードテスト(リアル口座での実績)が公開されているEAも多いです。
有料EAを選ぶときのチェックポイント:
| チェック項目 | 確認する理由 |
|---|---|
| フォワードテスト結果 | バックテストだけだと過剰最適化の可能性。リアル実績が重要 |
| 運用期間 | 最低でも1年以上の実績があるか |
| 最大ドローダウン | 許容できる損失幅か |
| 取引回数 | 少なすぎると信頼性が低い(最低100回以上) |
| 開発者のサポート | アップデートや質問対応があるか |
「バックテストの成績がすごく良い!」というだけで飛びつかないでください。バックテストは過去のデータに合わせて数字をよく見せることができます(過剰最適化=カーブフィッティング)。フォワードテストの実績を必ず確認しましょう。
3. 自分で作る
MQL4というプログラミング言語でEAを自作できます。MT4に内蔵されている「MetaEditor」という開発ツールを使います。
ただし、プログラミングの知識が必要です。初心者がいきなり挑戦するのはハードルが高いので、まずは既存のEAで自動売買の仕組みを理解してから、興味があればチャレンジしてみてください。
EAのインストール手順
EAのファイル(.ex4 または .mq4)を入手したら、MT4にインストールします。
ステップ1:データフォルダを開く
MT4のメニューバーから「ファイル」→「データフォルダを開く」をクリック。
Windowsのエクスプローラーでフォルダが開きます。
ステップ2:Expertsフォルダにファイルを配置する
開いたフォルダの中にある「MQL4」フォルダをダブルクリック。
その中の「Experts」フォルダに、ダウンロードしたEAファイル(.ex4 または .mq4)をコピーして貼り付けます。
データフォルダ
└── MQL4
└── Experts ← ここにEAファイルを入れる
ステップ3:MT4を再起動する
EAファイルを配置したら、MT4を一度閉じて再起動します。
再起動しないとEAが認識されません。「ファイルを入れたのに表示されない!」という場合は、まず再起動を試してください。
ステップ4:ナビゲーターウィンドウで確認する
MT4が再起動したら、左側の「ナビゲーター」ウィンドウを確認します。
「エキスパートアドバイザ」の下に、配置したEAの名前が表示されていればOKです。
ナビゲーターウィンドウが見当たらない場合は、メニューの「表示」→「ナビゲーター」で表示できます。
ステップ5:チャートにEAを適用する
- EAを動かしたい通貨ペアのチャートを開く
- ナビゲーターウィンドウからEAの名前をチャートにドラッグ&ドロップ
- 設定画面(パラメーター画面)が開く
ここで重要なのが、EAが指定する通貨ペアと時間足にチャートを合わせること。
例えば「USD/JPYの1時間足専用」のEAなら、USD/JPYのH1(1時間足)チャートに適用します。違う通貨ペアや時間足で動かすと、本来の性能が発揮されません。
ステップ6:自動売買を有効化する
EAをチャートに適用しただけでは、まだ動きません。
MT4のツールバーにある「自動売買」ボタンをクリックして有効化します。ボタンが緑色になっていれば有効。赤色のままなら無効です。
また、EAの設定画面の「全般」タブで以下を確認してください。
- 「自動売買を許可する」にチェックが入っている
- 必要に応じて「DLLの使用を許可する」にもチェック(EAによる)
チャートの右上にEAの名前とにこにこマーク(笑顔のアイコン) が表示されていれば、EAは正常に動作しています。しかめっ面のアイコンの場合は、何かの設定が足りていません。
EAの設定・パラメータの調整
EAをチャートに適用するときに表示される設定画面で、各種パラメータを調整できます。
共通パラメータの解説
EAによってパラメータの名前や数は違いますが、多くのEAに共通するパラメータがあります。
| パラメータ名 | 意味 | 設定のコツ |
|---|---|---|
| Lots / LotSize | 取引ロット数 | 口座残高と相談。初めは小さめに |
| StopLoss (SL) | 損切り幅(pips) | 広すぎると1回の損失が大きい |
| TakeProfit (TP) | 利確幅(pips) | 狭すぎると利益が伸びない |
| MaxSpread | 許容スプレッド | スプレッドが広がった時にトレードを止める |
| MagicNumber | EA識別番号 | 複数EAを動かす場合、重複しない番号を設定 |
| TrailingStop | トレーリングストップ幅 | 利益が伸びた時に損切りを引き上げる |
| MoneyManagement | 資金管理のON/OFF | ONにするとロット数を自動計算 |
| RiskPercent | リスク許容率(%) | MoneyManagement=ONの場合の1トレードリスク |
パラメータ調整の基本方針
初心者はデフォルト設定のまま始めるのがおすすめです。
EA開発者は、デフォルト設定で最も良いパフォーマンスが出るように調整していることが多いです。「もっと利益を出したい」と安易にパラメータをいじると、逆にバランスが崩れることがあります。
ただし、ロット数だけは口座残高に合わせて調整してください。EA付属のデフォルトロットが自分の口座に対して大きすぎる場合、そのまま運用すると危険です。
ロットの適正値がわからない場合は、ロット計算機で口座残高と損切り幅から計算してみてください。
バックテストの方法
EAを本番で動かす前に、必ずバックテストを実施してください。
バックテストとは、過去の相場データを使ってEAをシミュレーションすること。「このEAが過去の相場でどんな成績だったか」を検証できます。
Strategy Testerの使い方
MT4には「Strategy Tester(ストラテジーテスター)」というバックテスト機能が内蔵されています。
1. Strategy Testerを開く
メニューの「表示」→「ストラテジーテスター」をクリック。MT4画面の下部にテスターパネルが表示されます。
2. テスト条件を設定する
| 設定項目 | 内容 |
|---|---|
| エキスパートアドバイザ | テストするEAを選択 |
| 通貨ペア | EAが対応する通貨ペアを選択 |
| モデル | 「全ティック」を選択(最も正確) |
| 期間 | EAが対応する時間足を選択 |
| スプレッド | 「現在値」またはブローカーの平均値を入力 |
| 日付 | テスト期間を設定(最低1年、できれば3〜5年) |
「モデル」は必ず「全ティック」を選んでください。 「始値のみ」や「コントロールポイント」は計算が荒く、結果の信頼性が低くなります。
3. ヒストリーデータの質を確認
バックテストの精度は、ヒストリーデータの質に大きく依存します。
テスト結果に表示される「モデリング品質」が90%以上あることを確認してください。それ以下の場合、結果はあまり信用できません。
高品質なヒストリーデータが必要な場合は、ブローカーから提供されるデータや、サードパーティのデータ(例:Tick Data Suite)を使用します。
4. テストを実行する
「スタート」ボタンをクリックすると、バックテストが開始されます。
テスト完了後、3つのタブで結果を確認できます。
- レポート -- 総合成績の一覧
- グラフ -- 資産推移の折れ線グラフ
- 結果 -- 個々のトレード詳細
バックテスト結果の見方
レポートに表示される数字のうち、特に重要な指標を説明します。
| 指標 | 意味 | 目安 |
|---|---|---|
| 純益(Total net profit) | テスト期間全体の利益 | プラスであること |
| プロフィットファクター(PF) | 総利益 / 総損失 | 1.5以上が理想 |
| 最大ドローダウン | 最大の資産減少額(率) | 20%以下が安全圏 |
| 勝率 | 勝ちトレード / 全トレード | 手法による(PFのほうが重要) |
| 総取引数 | テスト期間中のトレード回数 | 最低100回以上ないと信頼性が低い |
| 期待利得 | 1トレードあたりの平均利益 | プラスであること |
結果が良すぎる場合は要注意
「プロフィットファクター5.0!最大ドローダウン3%!」
こういう結果が出たら、喜ぶ前に疑ってください。過剰最適化(カーブフィッティング) の可能性が高いです。
過剰最適化とは、過去のデータに過度にフィットさせてしまうこと。過去の相場では完璧に動くけど、未来の相場ではまったく機能しない。
対策として、テスト期間を変えて複数回テストしてみることをおすすめします。2020〜2022年で好成績でも、2023〜2025年で大幅マイナスなら、過剰最適化を疑うべきです。
デモ口座でのフォワードテスト
バックテストで良い結果が出ても、すぐにリアル口座で動かすのは危険です。
次のステップはデモ口座でのフォワードテスト。実際の相場でEAを動かして、リアルタイムの成績を確認します。
なぜデモ口座が必要なのか
バックテストとフォワードテスト(実際の相場)では、結果が異なることが珍しくありません。
| 違いの要因 | バックテスト | フォワードテスト |
|---|---|---|
| スプレッド | 固定値を使用 | 市場状況で変動する |
| 約定力 | 100%約定 | スリッページが発生 |
| 相場環境 | 過去のデータ | リアルタイムの動き |
| データの質 | ヒストリーデータ次第 | リアルデータ |
「バックテストでは月10%の利益だったのに、フォワードでは月2%しか出ない」ということは珍しくありません。
フォワードテストの期間
最低でも1〜3ヶ月、できれば6ヶ月は続けてください。
「1週間試して調子いいから本番に移行しよう」は危険。1週間ではトレンド相場しか経験していないかもしれない。レンジ相場でどう動くか、急変時にどう反応するか。これらを確認するには時間が必要です。
デモ口座での確認ポイント
- バックテストと大きく成績が乖離していないか
- 最大ドローダウンは許容範囲内か
- トレードの頻度は想定通りか
- スプレッドが広がった時に変な動きをしていないか
- 経済指標の発表時に暴走していないか
デモ口座の注意点
デモ口座はリアル口座とまったく同じ環境ではない点に注意してください。
特に約定力(注文が通る速さ)は、デモのほうが良い場合があります。デモで好成績だったからといって、リアルで同じ結果が保証されるわけではありません。
あくまで「明らかにダメなEAを弾くためのフィルター」として活用しましょう。
本番運用の注意点
デモ口座でのテストを経て、いよいよ本番運用に入ります。
ここからが本当に大事な部分です。
VPS(仮想専用サーバー)の利用
EAはMT4を起動し続けている間だけ動きます。パソコンの電源を切ったら止まります。
「じゃあパソコンをつけっぱなしにすればいいの?」
それでも動きますが、以下のリスクがあります。
- 停電でパソコンが落ちる
- Windowsのアップデートで勝手に再起動される
- ネット回線が不安定になる
- パソコンの性能劣化で動作が遅くなる
これらを防ぐのがVPS(Virtual Private Server)です。
VPSとは、インターネット上に用意された仮想のパソコン。24時間365日稼働しているので、EAを安定して動かし続けることができます。
| 比較項目 | 自宅PC | VPS |
|---|---|---|
| 稼働時間 | PCをつけている間だけ | 24時間365日 |
| 安定性 | 停電・回線障害のリスク | データセンターで管理 |
| 通信速度 | 回線次第 | 高速・安定 |
| 月額コスト | 電気代のみ | 月1,000〜3,000円程度 |
本格的にEA運用するなら、VPSの利用をおすすめします。月1,000〜3,000円程度で、安心して運用できます。
FX用のVPSを提供しているサービスもあり、MT4がプリインストールされていてすぐに使えるプランもあります。
通信環境
EAの注文はインターネット経由でブローカーのサーバーに送信されます。
通信が遅れるとスリッページ(注文価格と実際の約定価格がズレること)が発生し、成績に影響します。
VPSを使わずに自宅PCで運用する場合は、有線LANを使い、Wi-Fiは避けてください。
ブローカー選びのポイント
EA運用でブローカーを選ぶ際に重視すべき点を整理します。
| 項目 | なぜ重要か |
|---|---|
| EA利用が許可されている | ブローカーによってはEA禁止の場合がある |
| スプレッドが狭い | 取引コストが直接成績に影響 |
| 約定力が高い | スリッページが少ないほうが有利 |
| サーバーの安定性 | 接続切れ=ポジション放置のリスク |
| MT4を提供している | MT5のみ対応のブローカーもある |
| スキャルピング制限がない | 高頻度EAの場合、制限があると動かせない |
ブローカーの約定力は、EAの成績に直結します。 バックテストでは完璧な成績のEAでも、約定が遅いブローカーでは利益が大幅に減ることがあります。
資金管理
EAだからといって、資金管理が不要になるわけではありません。むしろEAこそ資金管理が重要です。
EAは機械的にトレードを繰り返すため、設定を間違えると一気に大損します。
- 1トレードのリスクは口座残高の1〜2%以内 -- これは裁量トレードと同じ基本ルール
- 複数EAを同時に動かす場合は、合計リスクに注意 -- EA1本あたり2%でも、3本同時に動かせば最大6%のリスク
- 最大ドローダウンの3倍の余裕資金 -- バックテストで最大ドローダウンが10%なら、実運用では30%までは想定しておく
ドローダウンがどこまで進むと回復が困難になるかは、ドローダウン回復計算機で確認できます。50%のドローダウンから回復するには100%の利益が必要、つまり資金を2倍にしなければならないという厳しい現実が数字で見えます。
EAの評価ポイント
EAを選んだり、運用中のEAを評価したりする際に見るべき指標をまとめます。
主要指標の一覧
| 指標 | 意味 | 良いEAの目安 |
|---|---|---|
| プロフィットファクター(PF) | 総利益 / 総損失 | 1.3〜2.0 |
| 最大ドローダウン(MaxDD) | 資産の最大減少率 | 20%以下 |
| 勝率 | 勝ちトレード数 / 全トレード数 | 手法次第(PFと合わせて判断) |
| 取引回数 | 一定期間のトレード数 | 多いほうが統計的に信頼できる |
| リカバリーファクター | 純益 / 最大DD額 | 3.0以上 |
| 平均利益 / 平均損失 | 勝ちと負けの平均額の比 | 平均利益 > 平均損失が理想 |
| 最大連敗数 | 最も長い連敗の回数 | 精神的に耐えられる範囲か |
指標の見方のコツ
プロフィットファクターが1.3〜2.0の範囲が現実的。
PFが3.0を超えるEAは「本当にそんなに勝てるのか?」と疑ってかかるべきです。過剰最適化や短期間のテストで数字が良く見えているだけの可能性があります。
勝率だけで判断しない。
勝率80%でもPFが1.0以下のEAは存在します。多くの小さな勝ちを、少数の大きな負けが全部食い尽くすパターン。勝率よりもPFと最大ドローダウンを重視してください。
リスクリワード比率の考え方はリスクリワード計算機の解説も参考にしてみてください。
最大ドローダウンは「過去の最悪値」であって「今後の最悪値」ではない。
バックテストで最大ドローダウン15%だったとしても、実運用ではそれ以上のドローダウンが発生する可能性は十分にあります。バックテストの1.5〜3倍は覚悟しておきましょう。
よくあるトラブルと対処法
EA運用で初心者がつまずきやすいトラブルをまとめます。
| トラブル | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| EAがチャートに表示されない | Expertsフォルダに入っていない / MT4未再起動 | ファイルの配置場所を確認し、MT4を再起動 |
| しかめっ面アイコンが表示される | 自動売買が無効 / EA設定の「自動売買を許可」が未チェック | ツールバーの「自動売買」ボタンを確認。EA設定の全般タブもチェック |
| トレードが一件も実行されない | 条件未達 / ロットが口座に対して大きすぎる / 通貨ペア・時間足が違う | EAの推奨通貨ペア・時間足を確認。ロットを最小にしてテスト |
| 「Not enough money」エラー | 証拠金不足 | ロットを下げるか、口座に入金する |
| バックテストのモデリング品質が低い | ヒストリーデータ不足 | 「ツール」→「ヒストリーセンター」からデータをダウンロード |
| MT4がフリーズする | EAの処理が重すぎる / PCのスペック不足 | 不要なチャートやインジケーターを閉じる。VPSの利用を検討 |
| 週末にポジションが持ち越される | 金曜クローズの設定がない | 週末持ち越しを避けるEA設定があるか確認。なければ手動でクローズ |
| スプレッドが広い時に大負けする | MaxSpreadの設定がない | MaxSpreadパラメータを設定して、スプレッド拡大時にトレードを停止 |
経済指標発表時の対応
雇用統計やFOMCなど、大きな経済指標の発表時はスプレッドが大幅に拡大し、値動きも荒くなります。
多くのEA開発者は、重要指標の前後はEAを停止することを推奨しています。
具体的には、指標発表の30分前〜1時間後はEAの自動売買を手動でOFFにする。これだけで不要な損失を防げます。
EAで失敗しないための心構え
最後に、EA運用を始める前に知っておいてほしいことをお伝えします。
「放置で稼げる」は幻想
EAは自動でトレードしてくれますが、完全放置で永遠に稼ぎ続けるEAは存在しません。
相場環境は変わります。トレンドが強い時期、レンジが続く時期、ボラティリティが高い時期、低い時期。EAにも得意・不得意があり、相場環境が変われば成績も変わります。
定期的(最低でも週1回)に成績を確認し、必要に応じてEAの停止やパラメータの調整を行う。この「監視と調整」が、EA運用で利益を出し続けるための条件です。
最初は小さく始める
「デモでうまくいったし、リアル口座にドーンと入金して一気に稼ごう!」
これが一番危険なパターンです。
リアル口座での運用は、最小ロット(0.01ロット)から始めてください。
デモとリアルでは約定環境が違いますし、何よりリアルマネーがかかると精神的なプレッシャーが全然違います。小さなロットで1〜2ヶ月運用して、問題なければ少しずつロットを上げていく。焦りは禁物です。
複数EAでリスク分散
1つのEAに全資金を集中するのは危険です。
異なるロジック・異なる通貨ペアのEAを2〜3本組み合わせることで、リスクを分散できます。1つのEAが不調でも、他のEAがカバーしてくれる可能性があります。
ただし、似たようなロジックのEAを複数動かしても分散になりません。「トレンドフォロー型」と「レンジ型」のように、異なるタイプを組み合わせるのがポイントです。
まとめ
MT4でEAを使った自動売買、全体の流れを振り返りましょう。
- MT4をインストール -- ブローカーのサイトからダウンロード
- EAを入手 -- 無料・有料・自作の3パターン。初心者はフォワード実績のある有料EAがおすすめ
- EAをインストール -- Expertsフォルダに配置してMT4を再起動
- バックテスト -- Strategy Testerで過去データを検証。PFと最大ドローダウンに注目
- デモ口座でフォワードテスト -- 最低1〜3ヶ月。リアルタイムの相場で成績を確認
- 本番運用 -- VPSの利用を推奨。小さいロットから始める
- 定期的な監視 -- 週1回は成績を確認。相場環境の変化に対応
EAは「設定して放置で億万長者」というものではありません。でも、正しく選んで、正しくテストして、正しく運用すれば、裁量トレードでは得られないメリットがたくさんあります。
感情に左右されない規律あるトレード。24時間のチャンス監視。複数通貨ペアの同時運用。これらはEAならではの強みです。
まずはデモ口座で1つのEAを動かすところから、始めてみてください。
関連ツール
- ドローダウン回復計算機 -- EAの最大ドローダウンから、回復に必要な利益率を計算
- リスクリワード計算機 -- EAのパフォーマンスを評価する際のRR比率計算に
- ロット計算機 -- EA運用時の適正ロット数を算出
海外FXを始めるなら
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