はじめに

「月利5%で回せたら、1年後にいくらになるんだろう?」

FXをやっていると、一度は考えたことがあるはずです。電卓を叩いてみたものの、「あれ、複利ってどう計算するんだっけ?」と手が止まった人も多いのではないでしょうか。

この記事では、FXの複利計算の仕組みと計算式を、具体的な数字とシミュレーション表で解説します。

先に結論を少しだけ。月利5%で10万円を1年複利運用すると、約18万円になります。単純に「5,000円 x 12ヶ月 = 6万円の利益」ではなく、約8万円の利益。この差が複利の力です。

ただし、複利には「増える話」だけでなく、知らないと危ない現実もあります。良い面と悪い面、両方セットで見ていきましょう。


複利とは?単利との違い

まず基本から。複利とは「利益を元本に組み入れて、利益にも利益をつける」増やし方です。

  • 単利:元本だけで運用し続ける。利益は毎回同じ額
  • 複利:利益を元本に足して運用する。利益が雪だるま式に増える

FXの場合、利益を出金せずに口座に残し、残高に応じてロットを増やしていくと自然に複利運用になります。逆に、毎月利益を出金して同じロットで取引し続けるのが単利のイメージです。

言葉だけだと分かりにくいので、元本100万円・月利3%で単利と複利を比べてみます。

経過期間 単利 複利 差額
6ヶ月後 118万円 約119.4万円 +1.4万円
1年後 136万円 約142.6万円 +6.6万円
2年後 172万円 約203.3万円 +31.3万円
3年後 208万円 約289.8万円 +81.8万円

最初の半年はほとんど差がありません。でも時間が経つほど差が開き、3年後には80万円以上の差になります。

複利のポイントはここです。短期ではたいしたことがなく、長期で効いてくる。 だから複利運用は「続けられるかどうか」が勝負になります。


FXの複利計算式

複利の計算式はシンプルです。FXでは月単位で考えることが多いので、月利ベースで書くとこうなります。

将来の資金 = 元本 x (1 + 月利)^ヶ月数

「^」は「〜乗」の意味。月利5%なら「1.05を運用月数の分だけ掛け算する」だけです。

計算例:元本30万円・月利5%・6ヶ月

実際に計算してみましょう。

300,000円 x (1.05)^6 = 300,000円 x 約1.34 = 約402,000円

6ヶ月で30万円が約40.2万円。利益は約10.2万円です。

単利なら「30万円 x 5% x 6ヶ月 = 9万円」の利益なので、複利のほうが約1.2万円多い。1ヶ月ごとに利益が元本に加わり、翌月の「5%」の対象が少しずつ大きくなっていくからです。

電卓でやるなら「30万 x 1.05 =」を6回繰り返せばOK。ただ、月数が増えると面倒なので、後述するシミュレーターを使うのが早いです。


月利別シミュレーション早見表

「自分の元本と月利だとどうなるの?」に答えるため、1年間(12ヶ月)複利運用した場合の早見表を作りました。

元本10万円を1年運用した場合

月利 1年後の資金 利益
3% 約14.3万円 +約4.3万円
5% 約18.0万円 +約8.0万円
10% 約31.4万円 +約21.4万円
20% 約89.2万円 +約79.2万円

元本30万円を1年運用した場合

月利 1年後の資金 利益
3% 約42.8万円 +約12.8万円
5% 約53.9万円 +約23.9万円
10% 約94.2万円 +約64.2万円
20% 約267.5万円 +約237.5万円

月利10%を1年続けると資金は約3.1倍、月利20%なら約8.9倍。数字だけ見るとワクワクしますよね。

でも、ここで冷静になってほしいのです。

月利10%を12ヶ月連続で達成するのは、プロでも極めて難しい水準です。月利20%に至っては、ほぼ「絵に描いた餅」と考えたほうがいい。現実的なラインは月利1〜5%程度、それでも毎月安定して出し続けるのは簡単ではありません。

早見表は「目標設定の参考」であって、「約束された未来」ではない。この前提を忘れないでください。


複利運用の「現実」:リスクと注意点

複利の話は、増える面だけ切り取られがちです。ここからは複利運用の落とし穴を4つ紹介します。むしろこちらが本題です。

1. 複利は損失も加速させる

複利は利益だけでなく、損失にも同じように働きます

残高に応じてロットを増やしていくということは、負けるときの金額も大きくなっているということ。たとえば月5%の損失が12ヶ月続くと、100万円は約54万円まで減ります。ほぼ半減です。

「増えるときは雪だるま、減るときも雪だるま」。これが複利の本当の姿です。

2. ドローダウンからの回復は想像以上にキツい

資金が減ったとき、元に戻すには減った割合以上の利益率が必要になります。

損失 元に戻すのに必要な利益率
-20% +25%
-30% +42.9%
-50% +100%

50%減らしたら、資金を2倍にしないと元に戻らない。複利計画は、大きなドローダウンが一度あるだけで簡単に崩れます。詳しくはドローダウン回復計算機で数字を確認してみてください。

3. 相場は「毎月きっちりプラス」にはならない

シミュレーションでは毎月同じ月利で計算しますが、実際の相場に「毎月安定して〇%」はありません。勝つ月もあれば負ける月もあり、その順番も読めません。

早見表の数字は「平均してこのペースなら」という理論値。機械的に増え続ける前提でお金の計画を立てるのは危険です。

4. 利益には税金がかかる

シミュレーションの数字は税引き前です。日本では、国内FXの利益は申告分離課税で約20%、海外FXは総合課税の対象。利益をすべて再投資に回す計画だと、納税資金が足りなくなることもあります。複利計画には税金の分も織り込んでおきましょう。


自分の数字でシミュレーションしてみよう

ここまでの計算、毎回電卓でやるのは正直面倒です。

複利シミュレーターを使えば、次の4つを入力するだけで結果が一瞬で出ます。

  1. 初期資金
  2. 月利(%)
  3. 運用期間(最大120ヶ月 = 10年)
  4. 毎月の追加入金(任意)

入力すると、最終資産額・総利益・総入金額・収益率が表示され、資産の増え方がグラフで確認できます。

特におすすめなのが「毎月追加入金」の設定です。たとえば「元本10万円 + 毎月3万円入金 + 月利3%」のような積立 x 複利のパターンも計算できるので、少額スタートの人ほど試してみてほしい機能です。

月利を1%、3%、5%と変えて見比べると、「自分の目標月利がどれくらい現実的か」の感覚もつかめます。

また、複利運用の土台になるのは日々の資金管理です。1回のトレードのロットはロット計算機で、損切りと利確のバランスはリスクリワード計算機で確認できます。複利は「退場しないこと」が大前提。守りを固めたうえで、複利の計画を立てましょう。


まとめ

今回のポイントを整理します。

  1. 複利は「利益にも利益がつく」増やし方。FXでは利益を口座に残してロットを増やすと複利になる
  2. 計算式は 元本 x (1 + 月利)^ヶ月数。月利5%なら1.05を月数分掛けるだけ
  3. 月利5%で1年運用すると資金は約1.8倍。ただし短期では差が小さく、複利は長期で効く
  4. 複利は損失も加速させる。ドローダウンが一度大きく出ると計画は崩れる
  5. 早見表は税引き前の理論値。「必ずこうなる」数字ではない

複利計算は、夢を見るためではなく、現実的な計画を立てるための道具です。「月利20%で1年後に9倍!」ではなく、「月利3%を守り続けたら3年でどうなるか」を考える。そのほうが、結果的に長く相場に残れます。

まずは複利シミュレーターに自分の元本と目標月利を入れて、数字を眺めてみてください。目標が現実的かどうか、グラフを見れば一目でわかります。

※本記事は複利計算の解説を目的とした教育コンテンツであり、特定の投資手法や利益を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。